カナダ CPI インフレ率 消費者物価指数 上昇率鈍化も食品と住宅ローン金利は高止まり 2023年5月
概況
カナダの2023年5月のCPI 消費者物価指数 (インフレ率) は、事前の前年同月比の予想+3.4%と同じ結果となりました。前月4月の+4.4%から大きく下げた値で2021年6月以降最低の上昇率になります。
この上昇幅鈍化の主な原因は、ガソリン価格の低下 (-18.3%) で、ガソリンを除いたCPIの前年同月比は+4.4%となっています。逆に、上昇の要因となったのは、引き続き住宅ローン金利コストの増加 (+29.9%) で、住宅ローン金利を除いたCPIの前年同月比は+2.5%の上昇となっています。
食料品とエネルギーを除いたコアCPIは、前年同月比で予想+3.9%の上昇に対して結果が+3.7%となり、こちらも伸びが鈍化したかたちとなりました。ただ、エネルギー価格は下がって来ているものの、住宅ローン金利のコストが引き続き大きな負担となって来ていると言えるでしょう。
エネルギー価格は前年同月比で大きく下落
2023年5月のガソリン価格は、2022年5月の高値から前年同月比で-18.3%の下落となり、燃料油やその他燃料の価格も前年同月比で-36.9%の大幅下落となりました。
昨年5月はロシアのウクライナ侵攻をめぐる供給不安でエネルギー価格が大幅に上昇していた時期のため、その月と比較すると、現在エネルギー価格は落ち着きを取り戻しているため大きく下落しているように見えます。
上記以外では、天然ガス価格の下落 (-3.5%) もエネルギー価格の減速に寄与しており、天然ガスの前年同月比での下落は2020年8月以来となっています。
以下のチャートの通り、2022年の中頃をピークにして消費者物価指数の前年同期比の上昇に与えるガソリン価格の影響は無くなり、2023年には上昇幅低下の圧力になって来ています。
食料品価格は高止まり外食価格の上昇は加速
2023年5月の食料品価格は前年同月比+9.0%の上昇となりました。食料品の中で上昇率が最も高かったのは、食用油脂の+20.3%で、ベーカリー製品の+15.0%、シリアル製品の+13.6%と続いています。
外食の価格は+6.8%と前月4月の+6.4%よりも速いペースで上昇しています。人手不足と原価や経費の高騰が続いていることが理由となります。
食料品価格の上昇率は全体のCPI 消費者物価指数の2倍以上であり、以下のチャートの通り、各項目の中で最大の上昇率を維持している状況です。前月4月と比較すると+9.1%とほぼ横ばいで価格は高止まりしています。
* 唯一、前年同月比で輸送 (Transportation) の価格が下がった理由はガソリン価格の低下によるもの
住宅ローン金利コストは過去最速ペースで3ヶ月連続で上昇
2023年5月の住宅コストは前年同期比で+4.7%と前月4月の+4.9%よりは上昇率が鈍化してものの、住宅ローン金利コストは、前年同月比+29.9%の上昇となり、前月4月の+28.5%に続き高止まりしている状態です。高金利環境で住宅ローンを更新・開始したためで、3ヶ月連続で過去最大の上昇率となっています。
上昇の理由は政策金利の引き上げによることは明確ですが、以下のチャートの通り、極めて速いペースで上昇を続けており、カナダ中央銀行による今後の対応に注目が集まります。
出典 :
Consumer Price Index, May 2023 | Statistics Canada
Canada Consumer Price Index (CPI) YoY | Investing.com