カナダ CPI インフレ改善も食料品高止まり 2023年2月
概況
カナダ 統計局 によると、カナダの消費者物価指数 CPI (インフレ率) は、2023年1月の+5.9%に続き2月の前年同月比は+5.2%となり上昇はさらに鈍化、2020年4月以降で減速幅が最大となりました。事前の予想+5.4%に対しても-0.2ポイントと低い値となっています。
この前年同月比の減速は、昨年2月の物価が前月比+1.0%と急伸したことに起因するところもあります。
食品とエネルギーを除く物価は、2023年2月の前年同月比は+4.8% (1月は+4.9%)、住宅ローン金利費用を除く全項目は+4.7% (1月は+5.4%) と双方ともに前月の値を下回りました。
前月比では、1月の+0.5%に続き2月は+0.4%となりました。1月と比較して2月は住宅ローン金利の支払いが多くなりましたがエネルギー価格の下落により一部相殺されました。
インフレ率はここ数ヶ月で鈍化しており落ち着きつつあるように見えますが、6ヶ月前と比べるとまだ1.2%上昇しており物価は依然として高い水準にあります。1年半前と比較するとインフレ率はまだ8.3%上昇している状況です。
食料品の価格は高止まり
2023年2月の食料品販売店での価格は前年同月比+10.6%となり、7ヶ月連続で2桁の上昇を記録しました。食料品価格の上昇圧力は、生産地域の天候不順による供給制約、及び飼料、エネルギー、包装材料などのコストの上昇によって続いている状況です。
穀物製品 +14.8%、砂糖・菓子類 +6.0%、魚介類・その他水産物 +7.4%など、一部の食料品の価格上昇は2月の前年同月比で加速しています。一方、ノンアルコール飲料 +11.1%、肉類 +6.2%、野菜・野菜調理品 +13.9%、ベーカリー製品 +13.9%、乳製品 +9.1%などの価格上昇は鈍化しました。
供給拡大でエネルギー価格は下落
2023年2月のエネルギー価格は、前年同月比で-0.6%となり、1月の+5.4%と比較すると大きく下落しました。ガソリン価格の-4.7%がこの下落を牽引しており、2021年1月以来の前年同月比マイナスとなりました。
ガソリン価格の前年同月比低下については、2022年初頭のロシアのウクライナ侵攻時に価格が急上昇し始めたことが大きく影響しています。
住居費の上昇ペースは3ヶ月連続で緩やかに鈍化
2023年2月の住居費は、+6.1%と3ヵ月連続で前年同月比の上昇ペースが鈍化してきました。新築住宅価格指数の前年同月比も、1月の+4.3%に比べると2月は+3.3%とで鈍化してきています。不動産の売却手数料を含むその他の所有宿泊費も+0.2%と2月に減速しました。これらの動きは、住宅市場の全般的な冷え込みを反映しています。
逆に、住宅ローン金利指数は、1月の+21.2%と比較して2月は+23.9%と前年同月比で増加し、1982年7月以来最も速い上昇ペースとなりました。3月8日にカナダ中銀は政策金利の据え置きを発表しましたが、この上昇はまだ金利が上昇している環境下で発生したものになります。
出典 :
Consumer Price Index, February 2023 | Statistics Canada
Canada Consumer Price Index (CPI) YoY | Investing.com