政策金利

カナダ中銀は政策金利を再び据え置き 2023年4月12日

概況

カナダ 中央銀行 は2023年4月12日、政策金利のターゲットを再び4.50%に据え置くとし、量的引き締め政策を継続することを発表しました。

グローバルサプライチェーンの正常化、エネルギー価格の低下、量的引き締めなどを背景に、多くの国でインフレが緩和しています。同時に、労働市場は依然としてタイトであり、多くの先進国のコアインフレ指標 (相対的に価格変動が大きい食品価格とエネルギー価格を除外したインフレ率) は、特にサービスに対する持続的な価格上昇を示唆しています。

カナダ経済について

金融引き締め政策が経済に浸透し続けることで、世界の経済成長が弱まることも予想されています。米国では、銀行部門における最近のストレスにより、信用状況が一段と厳しくなっています。米国の経済成長は今後数ヶ月で大幅に減速すると予想され、今後、特にカナダの輸出にとって重要なセクターが弱まると推測されます。

カナダの労働市場では、需要が供給を上回り逼迫している状態が続いています。賃金上昇率は生産性上昇率に比してまだ高い水準にあります。堅調な人口増加は労働供給量を増やし、雇用の増加を支えるとともに、総消費を押し上げています。このため、第1四半期時点でのカナダ経済は、輸出の回復と堅調な消費の伸びにより、予測よりも強いものとなりそうです。

高止まりした住宅ローン金利が家計に与える影響などにより、今後の消費は緩やかに減速すると予想されます。また、米国などの外需の軟化は、輸出と企業投資を抑制すると予想されます。全体として、現在上昇基調のGDP成長率は今後弱くなり、来年には徐々に強まると予想しています。

これは、今年後半に経済が供給過剰に陥ることを示唆しています。カナダ中央銀行は現在、カナダ経済の成長率は今年が1.4%、2024年が1.3%、2025年には2.5%に上昇すると推測しています。

インフレについて

2023年2月の消費者物価指数 CPI (インフレ率) は前年同月比+5.2%と上昇率が緩和され、コアインフレ率も+4.8%といずれも前月よりも低い率となりました。カナダ中央銀行は、インフレ率が今年半ばに3%程度まで急速に低下し、その後、より緩やかに低下して2024年末には目標の2%に達すると予想しています。

しかし、インフレ期待が緩やかに低下していること、サービスに対する価格のインフレ率と賃金上昇率が依然として高いこと、企業の価格決定プロセスがまだ正常化していないことなどから、インフレ率を2%に戻すことはより困難となる可能性もあります。

カナダ中央銀行は、金融政策が物価上昇圧力を緩和するために十分な効果を上げているかを引き続き評価し、インフレ率を2%の目標に戻すために、必要であれば政策金利をさらに引き上げる用意があるともコメントしています。

次回の政策金利発表予定日は2023年6月7日になります。

Canada Interest Rate Decision

出典 :
Bank of Canada maintains policy rate, continues quantitative tightening | Bank of Canada
Canada Interest Rate Decision | Investing.com