政策金利

カナダ中銀はサプライズ利上げで景気過熱に対応、政策金利4.75% 2023年6月7日

概況

カナダ 中央銀行 は2023年6月7日、政策金利のターゲットを再び0.25ポイント引き上げ4.75%とすると発表しました。利上げのインフレ抑制効果を見極めるため、2023年1月以降金利を据え置いてきましたが、必要であれば政策金利をさらに引き上げる用意があると以前からコメントしている通り、再度の利上げへと踏み切りました。

世界的な消費者物価の上昇は、主にエネルギー価格の下落を反映してその上昇幅は鈍化して来ていますが、インフレ率は依然として高いままの状況です。

米国では、個人消費は驚くほど底堅く労働市場は依然としてタイトであるものの、景気は減速しています。欧州では、経済成長が基本的に停滞していますが、価格に対する上昇圧力は持続しています。中国の成長は、第1四半期に急増した後、減速すると予想されています。

このように金利の上昇により世界の経済成長が軟化している中、主要な中央銀行は物価の安定を取り戻すために金利をさらに引き上げなければならない状況に直面しています。

カナダ経済について

2023年第1四半期のカナダ経済は予想以上に好調で、GDP成長率は3.1%となりました。消費の伸びは、人口増加による押し上げを考慮しても驚くほど力強く広範囲なものでした。

サービスに対する需要が引き続き回復し、さらに、金利に敏感な商品への支出が増加し、最近では住宅市場の活動も活発化しています。労働市場は引き続きタイトな状況です。移民と労働参加率の上昇により労働者の供給は拡大していますが、労働力に対する強い需要が続いているため、新規労働者はすぐに採用されています。

全体として、カナダの経済における需要超過は予想以上に持続しているように思われます。

インフレについて

2023年4月の消費者物価指数 CPI インフレ率 は前年同月比+4.4%と10ヶ月ぶりに上昇に転じ、幅広い商品・サービスの価格が予想を上回りました。商品価格は、エネルギーコストの低下にもかかわらず上昇し、サービス価格は、旺盛な需要と逼迫した労働市場を反映して高止まりしています。

カナダ中央銀行は、エネルギー価格の下落が浸透し昨年の大幅な物価上昇分が年間データから抜け落ちることを鑑み、夏にはインフレ率が3%程度まで緩和されると引き続き予想しています。しかし、コアインフレ率の3ヵ月測定値が数ヵ月にわたって3.5〜4%の範囲で推移し需要超過が続いていることから、インフレ率が目標の2%を大幅に上回って推移する可能性もあると懸念しています。

こうしたカナダの経済とインフレの数値の積み重ねに基づき、カナダ中央銀行は、金融政策が需給のバランスを取り戻しインフレ率を持続的に2%の目標に戻すには十分に制限的でないという見解を示し、政策金利の引き上げを決定しました。

次回の政策金利発表予定日は、2023年7月12日になります。

出典 :
Bank of Canada raises policy rate 25 basis points, continues quantitative tightening | Bank of Canada
Canada Interest Rate Decision | Investing.com