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  • [2023年5月] カナダドル 円 為替 考察

    [2023年5月] カナダドル 円 為替 考察

    5月の概況

    カナダドル 円 (CAD / JPY) 2023年5月の為替動向についての考察です。

    2022年12月から1カナダドル101円から94円の間で推移して来ましたが、2023年3月24日に今年最安値94.07円を付けて以降上昇基調 (カナダドル高 / 日本円安) が続いており、5月に入って度々101円を上に抜けましたが明確に越えていくことは出来ず今週は100.14円で終了しました。

    経済指標の影響

    2023年5月はカナダの 政策金利 の発表はありませんが既に 雇用統計 は発表されており、雇用者数と失業率ともに予想よりも良い値となっています。 小売売上高 や GDP の発表は今月まだですが、この3指標はいずれも高止まりしている状態です。

    16日には 消費者物価指数 (CPI) が発表される予定です。前月の発表 で2021年12月振りに5%を割り今回の予想でも4.1%になっており、もし予想値以下となるとインフレの沈静化がより進んだとの思惑で利下げの折り込みが現実的になるのではないでしょうか。

    価格の動向

    WTI原油価格は、4月にギャップアップ (間を空けて上下どちらかに大きく動くこと) で大きく上昇したのですが、結局その後最安値を更新するほどに大きく下落してしまいました。

    原油の下落基調はまだ続くのではないでしょうか。

    ※ カナダは世界第4位の産油国で原油などの資源価格が少なからず通貨の強弱に影響します

    インフレ率に注目

    経済指標の高止まりからの下落折り込みやインフレ率上昇幅の鈍化から、この数ヶ月間カナダドル売りが進むと推測して来たのですが、円の影響の方が強くカナダ円は逆に上昇して来ている状態です。

    5月については、カナダ中央銀行による政策金利の発表と日銀の金融政策決定会合が無いため、インフレ率 (消費者物価指数 CPI) が一番注目されるイベントとなるかと思います。

    上記の通り、カナダのインフレ率は大きく下がって来ており、今回予想値よりも低ければインフレが収まりつつあるとのことで、カナダドル売りにつながるのではないでしょうか。

    円は米国株が下がる環境で円買い (円高) が起きることが多いのですが、金利据え置きの折り込みなどから現在米国株は堅調でドル円も大きく落ちないことから、上がっても下がる、下がっても上がるというような動きになるのではと考えています。

  • [2023年 最新版] カナダ モバイルデバイス所有率 メディア利用時間 日本とのデータ比較

    [2023年 最新版] カナダ モバイルデバイス所有率 メディア利用時間 日本とのデータ比較

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    2023年 カナダ 各デバイス 所有率 (16〜64歳までのインターネットユーザーを対象)

    • カナダでの携帯電話全般の所有率は93.8%、日本での携帯電話の所有率は96.7%

    • カナダでのスマートフォンの所有率は93.2%、日本でのスマートフォンの所有率は95.3%

    • カナダでのフィーチャーフォン (所謂ガラケー) の所有率は4.4%、日本でのフィーチャーフォンの所有率は4.0%

    • カナダでのパソコンの所有率は73.2%、日本でのパソコンの所有率は59.3%

    • カナダでのタブレットデバイスの所有率は49.5%、日本でのタブレットの所有率は25.2%

    • カナダでの家庭用ゲーム機の所有率は36.4%、日本でのゲーム機の所有率は25.1%

    • カナダでのスマートウォッチデバイスの所有率は30.2%、日本でのスマートウォッチの所有率は10.0%

    • カナダでのテレビ用ストリーミングデバイスの所有率は29.8%、日本でのストリーミングデバイスの所有率は9.2%

    • カナダでのスマートホームデバイスの所有率は23.1%、日本でのスマートホームデバイスの所有率は4.1%

    • カナダでのVRデバイスの所有率は6.6%、日本でのVRデバイスの所有率は2.0%

    • 日本がカナダを上回っているデバイス所有率は、携帯電話とスマートフォンのみ。特に、タブレット、スマートウォッチ、ストリーミングデバイス、スマートホームデバイス、VRデバイスは、カナダは日本の倍ほどの所有率で、日本の携帯電話・スマートフォン依存とデジタル化の遅れが目立つ
    Device Ownership in Canada

    Device Ownership in Japan

    2023年 カナダ メディア 利用時間 (16〜64歳までのインターネットユーザーを対象)

    • カナダの1日あたりのインターネット利用時間は6時間35分、日本のインターネット利用時間は3時間45分、大きく差がついた理由は、日本では携帯電話契約によるインターネット利用が多くその分が加味されていないと推測する

    • カナダの1日あたりのテレビ (放送・ストリーミング) 視聴時間は3時間42分、日本のテレビ視聴時間は2時間24分

    • カナダの1日あたりのソーシャルメディア利用時間は2時間5分、日本のソーシャルメディア利用時間は51分

    • カナダの1日あたりの報道メディア利用時間 (オフライン含む) は1時間49分、日本の報道メディア利用時間は36分

    • カナダの1日あたりの音楽ストリーミングサービス利用時間は1時間43分、日本の音楽ストリーミングサービス利用時間は26分

    • カナダの1日あたりのラジオ聴取時間は1時間9分、日本のラジオ聴取時間は27分

    • カナダの1日あたりのポッドキャスト聴取時間は56分、日本のポッドキャスト聴取時間は13分

    • カナダの1日あたりの家庭用ゲーム利用時間は1時間11分、日本の家庭用ゲーム利用時間は26分

    • 上記ソーシャルメディア利用時間以降、日本の利用時間はあまりにも短く異常値のように見える。アメリカのデータと比較しても特段カナダの利用時間が長いわけではなく、日本がこれだけ短いのには違和感を感じる
    Daily Time Spent with Media in Canada
    Daily Time Spent with Media in Japan

    出典 :
    Digital 2023: Canada | DataReportal – Global Digital Insights
    Digital 2023: Japan | DataReportal – Global Digital Insights

  • カナダ 雇用統計 失業率 パートタイム雇用の増加が顕著に 2023年4月

    カナダ 雇用統計 失業率 パートタイム雇用の増加が顕著に 2023年4月

    概況

    カナダ 統計局 の発表によると、2023年4月のカナダの雇用者数は2,013万人となり、前月からの増減者数は予想+2万人に対して+4万1,400人で前月比+0.2%、失業率は予想5.1%に対して5.0%とどちらも予想よりも良い結果となりました。

    雇用者数の増加分はすべてパートタイム雇用であり、フルタイム雇用は減少しています。雇用者数は2022年9月以降上昇が続いており、失業率は2022年12月以降歴史的な低さを維持している状態です。

    2023年4月の平均時給は前年同月比で+5.2%の+1.66ドルで33.38ドルに上昇しました (季節調整なし)。

    Employment gain in April driven by part-time work

    4月の雇用者数増加はパートタイム雇用が牽引

    2023年4月の増加雇用者数4万1,400人の内訳として、パートタイム雇用は+4万7,600人で+1.3%となり、フルタイム雇用は-6,200人で減少となりました。パートタイム雇用増加分のうち1万8,000人をコア年齢層 (25〜54歳) の男性が占めています。パートタイム雇用の顕著な増加は2022年10月以来となります。

    4月の雇用者数のうちパートタイムで働く人の割合は18.1%で前年同月の18.7%とほぼ同じ水準です。また、パートタイムで働く人のうち15.2%が非自発的にそうしており (つまり正社員を希望していた)、この割合も前年同月の15.3%とほぼ同じでした (季節調整なし)。

    Canada Employment Change

    失業率は5ヶ月連続で5%を維持

    2023年4月の失業率は予想5.1%に対して5.0%と良い結果となりました。失業率は2022年12月以降5.0%で横ばいとなっており、2022年6月と7月に観測された過去最低の4.9%に近い水準で推移しています。

    失業者数は110万人で、過半数 (64.3%) が13週間以下の失業者でした。27週以上の長期失業者の割合は15.4%で前年同月の19.5%から減少し、2020年2月のパンデミック前の割合15.3%とほぼ同じになっています。

    全人口のうち就業している人の割合を示す就業率は65.6%と安定しています。

    Canada Unemployment Rate

    卸売・小売業を筆頭に4業種で雇用が増加

    卸売・小売業の雇用は2023年2月と3月はわずかな変化でしたが、1月の5万9,000人の上昇に続き4月は2万4,000人 +0.8%と大きく増加しました。

    運輸・倉庫業の雇用者数は、3月の顕著な増加+4万1,000人 +4.2%に続き、4月も1万7,000人 +1.6%の増加となりました。

    情報・文化・レクリエーション業の雇用は直近3ヶ月間あまり変化がありませんでしたが、4月は1万6,000人 +1.9%増加し、教育サービス業でも雇用は直近2ヶ月間ほとんど変化がなかったのですが、4月に1万5,000人 +1.0%増加しました。

    2023年4月の雇用者数が大きく減少したのは、ビジネス・建築・その他サポートサービスで-1万4,000人 -1.9%でした。

    Wholesale and retail trade leads employment growth in April

    出典 :

    Labour Force Survey, April 2023 | Statistics Canada
    Canada Employment Change | Investing.com
    Canada Unemployment Rate | Investing.com

  • カナダ バンクーバー・トロント 住宅市場レポート 2023年4月

    カナダ バンクーバー・トロント 住宅市場レポート 2023年4月

    カナダ 住宅 関連記事

    WOWA.ca は、2023年4月のカナダ バンクーバーとトロントにおける住宅市場レポートを公表しました。

    Greater Vancouver Benchmark Prices, April 2023
    Greater Vancouver Housing Market Overview, April 2023

    バンクーバー 住宅市場レポート サマリー 2023年4月

    • グレーターバンクーバーの平均住宅販売価格は1,295,266カナダドル (以下 ドル) で、前年同月比では-3.4%の下降でしたが、前月比では+2.2%の上昇となりました。

    • グレーターバンクーバーのMLS住宅ベンチマーク価格は1,170,700ドルで、前年同月比では-7.4%の下降でしたが、前月比では+2.3%の上昇となりました。

    • グレーターバンクーバーのMLS住宅ベンチマーク価格は、3年間で+25%の上昇を示していますが、史上最高値である2022年4月の1,264,700ドルを-7.4%下回っています。

    • グレーターバンクーバーの一戸建て住宅のMLS住宅ベンチマーク価格は前年同月比-8.8%減の192万ドル、タウンハウスは前年同月比-6.1%減の108万ドル、コンドミニアムは前年同月比-3.1%減の75万ドルでした。

    • すべての住宅タイプにおいて、利上げ観測が続いたことで前年同月よりも価格が下降しましたが、すべてのタイプで前月よりも価格は上昇しました。
    Greater Toronto Benchmark Prices, April 2023
    Greater Toronto Housing Market Overview, April 2023

    トロント 住宅市場レポート サマリー 2023年4月

    • 2023年4月のグレータートロントエリア (以下 GTA) の平均住宅販売価格は1,153,269ドルで、前年同月比-8.1%の下降でしたが、前月比では+4.0%の上昇となりました。

    • 新規物件の不足と強い住宅需要がトロントの住宅価格を押し上げて来ています。

    • GTAの一戸建て住宅の平均住宅販売価格は前年同月比-8.5%減の149万ドル、複数戸建て住宅 (Semi-Detached) の平均住宅販売価格は前年同月比-9.8%減の114万ドル、タウンハウスの平均住宅販売価格は前年同月比-2.3%減の109万ドル、コンドミニアムの平均住宅販売価格は前年同月比-8.3%減の72万ドルでした。

    • トロントもバンクーバーと同様、利上げ観測が強かった前年同月よりもすべての住宅タイプで価格が下降しましたが、すべてで前月よりも価格は上昇しました。

    • トロントとバンクーバーの平均住宅販売価格を比較すると、タウンハウスとコンドミニアムはバンクーバーの方が1割ほど高いくらいですが、一戸建てに関しては5割 (1.5倍) ほどの差が出ています。

    WOWA.caによる 2023年3月のカナダ住宅市場レポート に書かれている傾向と同じく、金利上昇の影響が続いたことにより昨年よりは価格は下がっているものの、前月比ではじわじわと上昇して来ています。

    カナダは 政策金利 の上昇が始まった2022年に住宅価格がピークを迎え、利上げとともに価格は下落、そして、金利の据え置きから将来の利下げ観測が高まったことにより、ここ数ヶ月で価格が持ち直しつつあります。

    出典 :
    Vancouver Housing Market: May. 3rd, 2023 Update | WOWA.ca
    Toronto Housing Market: May. 3rd, 2023 Update | WOWA.ca

  • [2023年 最新版] カナダ インターネット モバイル SNS 利用率 他 日本とのデータ比較

    [2023年 最新版] カナダ インターネット モバイル SNS 利用率 他 日本とのデータ比較

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    2023年 カナダのインターネット・モバイル・ソーシャルメディア 利用率

    • カナダのインターネットユーザー数は3,623万人でインターネット利用率は93.8%、日本のインターネットユーザー数は1億250万人でインターネット利用率は82.9%、日本の利用率が低い理由としては、携帯電話所有率 (携帯電話契約数) が高くパソコン所有率 (インターネット回線契約数) が低いためと推測する

    • カナダの携帯電話契約数 (Cellular Mobile Connections) は3,804万件でモバイル普及率は98.5%、日本の携帯電話契約数は1億8,440件でモバイル普及率は149.1%、日本では1人あたり1.49台分の携帯電話契約を持ちカナダを大きく上回る

    • カナダのソーシャルメディアユーザー数は3,310万人でソーシャルメディア利用率は85.7%、日本のソーシャルメディアユーザー数は9,200万人でソーシャルメディア利用率は74.4%、カナダでの利用率の方が1割ほど高い
    Essential Digital Headlines in Canada
    Essential Digital Headlines in Japan

    2023年 カナダのインターネット利用・モバイル利用 成長率

    • カナダの人口は3,862万人で2022年1月からの1年間で32万7,000人 0.9%の増加、日本の人口は同期間で0.5%の減少

    • カナダのインターネットユーザーは2022年1月からの1年間で52万9,000人 1.5%の増加、日本のインターネットユーザーは同期間で0.5%の減少

    • カナダの携帯電話契約数は2022年1月からの1年間で107万件 4.7%の増加、日本の携帯電話契約数は同期間で4.2%の減少

    • カナダは人口・インターネットユーザー・携帯電話契約数すべて増加しているのとは対象的に、日本は左記すべてが減少、特に携帯電話契約数の増減に大きな差がある
    Digital Growth in Canada
    Digital Growth in Japan

    2023年 カナダの人口統計

    • カナダの人口は3,862万人で、日本の人口は1億2,360万人、カナダの人口は日本の約3割 (31%) で日本の人口はカナダの約3倍 (3.2倍)

    • カナダの人口の50.3%は女性で49.7%は男性、日本の人口の51.4%は女性で48.6%が男性と比率はほぼ変わらない

    • カナダの年齢の中央値は40.5歳、日本の年齢の中央値は49.0歳、日本の高齢化が目立つ

    • カナダの人口の81.8%が都市部に住み、日本の人口の92%が都市部に住む、国土の地形の差が大きい

    • カナダの人口密度は1平方キロメートルあたり4.3人、日本の人口密度は同面積あたり327.6人、カナダは人口が比較的少なく国土面積が広いが日本はその逆、人口密度には76倍の差がある

    • カナダの識字率は99.0% (15歳以上) で日本と同等
    Population Essentials in Canada
    Population Essentials in Japan

    出典 :
    Digital 2023: Canada | DataReportal – Global Digital Insights
    Digital 2023: Japan | DataReportal – Global Digital Insights

  • カナダ GDP 2023年2月

    カナダ GDP 2023年2月

    カナダ 統計局 によると、2023年2月のカナダの実質GDP (国内総生産) は、約2兆830億カナダドル (2,082,634 Bil. | 約209兆円) となりました。

    前月比で予想+0.2%に対して+0.1%と低い結果となりましたが、前月1月の前月比が+0.5%から+0.6%へと上昇修正されています。製造業とサービス業ともに+0.1%となり、20セクター中12セクターで増加となっています。

    Real gross domestic product rose in February
    Canada Gross Domestic Product (GDP) MoM

    セクター別に見ると、公共部門、専門・科学・技術サービス、金融・保険などが増加しましたが、卸売業、小売業などの減少により一部相殺されました。

    Main industrial sectors’ contribution to the percent change in gross domestic product in February

    出典 :
    Gross domestic product by industry, February 2023 | Statistics Canada
    Canada Gross Domestic Product (GDP) MoM | Investing.com

  • [2023年4月] カナダドル 円 為替 考察

    [2023年4月] カナダドル 円 為替 考察

    概況について

    カナダ円 (CAD / JPY) 2023年4月の為替動向についての振り返りです。

    直近の大底である3月24日の1カナダドル94.07円以降、2月28日に付けた今年最高値100.88円を目指して上昇 (カナダドル高 / 日本円安) を続けて来ましたが超えられず、4月18日に付けた100.60円をピークとしてダブルトップ (下チャートの2つの円) を形成した後、現在は下落基調にあります。

    CAD / JPY 4時間足 2023年4月

    経済指標の影響

    上チャートを見ても、あまり経済指標で動いたという感じではありませんが、政策金利 が引き続き据え置きとされ、その後に発表された 消費者物価指数 (CPI) にてインフレが落ち着きつつあることが再認識されたことが下落に転じた理由の一つではないでしょうか。

    また、2月28日の今年最高値100.88円を超えられなかったことや、今月後半のドル安円高に引っ張られていることも影響していると考えます。

    雇用統計小売売上高 は予想よりも良い結果を出しているものの、CPI が順調に下がっているため、カナダ中央銀行が発表している「インフレ率が今年半ばに3%程度まで急速に低下する」との予想が順調に進む可能性は高いと思います。

    そして、インフレが沈静化すれば政策金利をそれに合わせて下げる可能性が出てくるので、カナダドル安の原因となります。

    価格の動向

    US OIL 日足

    WTI原油価格は、昨年以降下落基調にありますが、2023年3月に大底を付けたように大きく反発し、4月頭にはギャップアップして大きく上昇しました。このまま勢いを保てるか観察していましたが今は窓埋めで下落しています。

    カナダは世界第4位の産油国で、原油などの資源価格が少なからず通貨の強弱に影響するため、下落基調が続くのか、一段上のレンジに上昇するのかを見守りたいと思います。

    レンジの動きが継続するか?

    CAD / JPY 日足 2022年11月 〜 2023年4月

    カナダ円は2022年の11月に大きく下落して以降、上値は101円下値は94円の間のレンジで5ヶ月間ほど推移しています。為替の動きはレンジで推移することが多いのですが、上チャートの動きを素直に見ると、レンジの下限である94円付近を目指しているように思えます。

    直近の銀行株下落によるリスクオフでの円買いなど、円の動きに影響されることが多いのですが、カナダドル単体を上記の経済指標データから考えると、どうしてもカナダドル売りが進むと推測します。この場合、3月のように94円付近からまた折り返すのか、または抜けてくるのか、が今後の動きを見極める焦点になると思います。

    次回の日銀金融政策決定会合が4月27、28日に行われ、以前の新総裁のコメントから金融政策は現状維持となる見通しですが、もし予期しないサプライズがあれば大きく円高 (カナダ円安) に向かい94円を下に抜ける可能性は高まるでしょう。

    カナダ円 5月の動きに向けて

    先ずは、4月末の日銀の金融政策決定会合を無難に乗り切るかどうかを見たいと思います。その後、5月2、3日にFEDによるFOMCがあり米国の政策金利が発表されます。CME FedWatch Tool では8割以上0.25bpの引上げとなっているので、この数値が変わらなければ大きく為替が動くことはないでしょう。

    カナダドルに関しては、5月はカナダ中央銀行による政策金利の発表はありませんが、5月中に出る経済指標がこれまでの流れ、つまり、経済状況は良いがインフレは収まりつつある、ということが変わらなければ、カナダ円は上値を切り下げつつもレンジで推移していくのではないでしょうか。

    円に関しては、米国などでの金融不安によるリスクオフの円買いで大きく円高に触れる可能性があります。米国の株価次第なところもありますが、もし94円を下に抜けるのであれば、強い円買いの状況が重なることが条件かと考えています。

    5月1日 追記 – カナダ円は上値101円のレンジを突破

    カナダ円は、4月30日の日銀金融政策決定会合後から円安へと大きく進み、2月に付けた今年最高値1カナダドル100.88円を超えて上昇して来ています。

    Currency Strength Chart

    2022年11月以来5ヶ月間推移して来た上値101円下値94円のレンジを上に抜けカナダドル高・円安の流れになっています。

    CAD / JPY 4時間足 2023年4〜5月
  • カナダ 新築住宅価格指数 2023年3月

    カナダ 新築住宅価格指数 2023年3月

    カナダ 住宅 関連記事

    カナダ 統計局 によると、カナダの新築住宅価格指数は、前月比で予想-0.5%に対して0.0%と上回りました。同指数は、利上げに伴う住宅ローン金利上昇の影響で過去7ヶ月間で5ヶ月低下していましたが、今回の予想に対する上振れは新築住宅価格の変調の兆しとなるでしょうか。

    Canada New Housing Price Index MoM

    出典 :
    New Housing Price Index, March 2023 | Statistics Canada
    Canada New Housing Price Index MoM | Investing.com

  • カナダ 住宅市場 住宅取引件数 平均住宅販売価格 など 2023年3月

    カナダ 住宅市場 住宅取引件数 平均住宅販売価格 など 2023年3月

    カナダ 住宅 関連記事

    カナダ 不動産協会 (CREA) のデータを元に WOWA.ca は、2023年3月の月間住宅取引件数と平均住宅販売価格、MLSベンチマーク価格を発表しました。資料によると、前年同月比においてすべて二桁%の下落となりましたが、前月比ではすべて上昇となりました。

    Canadian Housing Market Data for March 2023

    カナダの一部の住宅市場で力強い伸びが見られたことにより、2023年3月のカナダの平均住宅販売価格は前月比+4%の約69万カナダドルとなり、2022年5月以来の高水準となりました。

    ほとんどの州で価格が先月と比較して上昇しており、特に、アルバータ州、サスカチュワン州、プリンスエドワード島で力強い回復となりました。

    しかし、カナダの住宅価格がピークを迎えた2022年2月と比較すると、平均住宅販売価格はまだ14%ほど低い状況です。この価格の下落は過去1年間に見られたカナダ中央銀行による金利上昇の影響により住宅需要が抑制されたことが主な理由と考えられます。

    2023年3月の住宅取引件数は前年同月比-34.4%の41,636件となりましたが、これは前月比では+41%であり、カナダの住宅販売が14年ぶりの低水準となった2023年1月と比較すると+41.6%の大幅増加になります。

    上記から見て取れるのは、政策金利 の上昇が始まった2022年に住宅価格は一旦のピークを迎え、利上げとともに価格は下落、そして、金利の据え置きから将来の利下げ観測が強まったことにより、ここ数ヶ月で価格が持ち直しつつある、ということでしょうか。

    Canadian Housing Market Data for March 2023

    出典 :
    Canadian Housing Market Report Apr 17 2023 | WOWA.ca

  • カナダ 小売売上高 2023年2月

    カナダ 小売売上高 2023年2月

    概況

    カナダ 統計局 によると、2023年2月のカナダ小売売上高は663億カナダドルとなり、前月比で予想-0.6%に対して-0.2%と上回りました。

    小売業の48.0%を占める9つのセクターのうち4つのセクターで売上が減少しました。この減少は主に、ガソリンスタンド及び燃料販売店の-5.0%、一般商品小売店の-1.6%の売上高減少に起因しています。

    ガソリンスタンド及び燃料販売店と自動車及び部品販売店を除いたコア小売売上高は0.1%増加しています。

    ガソリンスタンドの売上は減少、自動車販売店の売上は増加

    2023年2月の小売売上高減少の主な要因は、ガソリンスタンド及び燃料販売店の売上高-5.0%です。ガソリン価格は、米国の原油在庫が増加したことにより、調整前ベースで1.0%の下落となりました。

    売上高が増加したのは、自動車及び部品販売店の+0.9%で、7ヶ月連続の増加となりました。この売り上げ増加は、新車販売店が+0.7%、中古車販売店が+4.2%、自動車部品・付属品・タイヤ販売店が+2.5%の増加によってもたらされました。

    コア小売売上高はプラスに転じる

    2023年2月のコア小売売上高は、衣料品・服飾雑貨・靴・宝飾品・鞄・皮革製品販売店の+4.4%の売上高増加に牽引され+0.1%の増加となりました。中でも衣類・衣類付属品販売店の売上高は+4.9%となり前年同月以来最大の増加率を記録しています。

    コア小売業売上高を最も減少させたのは、一般商品小売店の-1.6%でした。同サブセクターの売上高は、過去4ヶ月のうち2ヶ月間減少しています。

    カナダ小売Eコマース売上高

    季節調整済みベースでの2023年2月の小売Eコマース売上高は前月比+7.8%の37億ドルとなり、小売売上高全体に占める割合は1月の5.1%から5.5%へと増加しました。

    Canada Retail Sales MoM

    出典 :
    Retail trade, February 2023 | Statistics Canada
    Canada Retail Sales MoM | Investing.com

  • カナダ CPI インフレ率は上昇鈍化 エネルギー・食料品価格が落ち着く 2023年3月

    カナダ CPI インフレ率は上昇鈍化 エネルギー・食料品価格が落ち着く 2023年3月

    カナダ CPI インフレ率 消費者物価指数 関連記事

    概況

    カナダ 統計局 によると、カナダの2023年3月の消費者物価指数 CPI (インフレ率) は、2月の前年同月比+5.2%に続き+4.3%となり上昇は大きく鈍化、2021年8月以来の最小の上昇率となりました。事前の予想+4.4%に対して-0.1ポイント低い率となっています。

    食品とエネルギーを除いたコアインフレ率は、2月の前年同月比+4.8%に続き3月は+4.5%とこちらも上昇が減速して来ています。

    前月比では、2023年2月の+0.4%に対し3月は+0.5%となりました。これは3月休暇中の季節需要 (旅行など) の増加によるところが大きかったといえます。

    インフレ率の上昇はここ数ヶ月で鈍化しているように思えますが、物価は依然高い水準にあり、例えば、6ヶ月前と比べると+1.7%、1年半前と比べると+8.7%上昇している状態です。

    ガソリン価格は2ヶ月連続で前年同月比が下落

    2023年3月のガソリン価格は、2ヶ月連続で前年同月比を大きく下回り (-13.8%)、2020年7月以降で最大の年間下落幅となりました。この下落は、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー供給不安の結果、ガソリン価格が前月比+11.8%上昇した2022年3月の急騰が主な要因になります。

    住宅買替費用の上昇は鈍化するも住宅ローン費用は過去最速ペースで上昇

    住宅買い替えコストは、住宅市場の全般的な冷え込みを反映し、2月の前年同期比は+3.3%で3月は+1.7%と引き続き減速して来ました。

    一方、住宅ローン金利コストは2月の前年同月比+23.9%に対し3月は+26.4%とより速いペースで上昇しています。これはより高い金利での住宅ローンの開始や更新があったためで過去最大の年間増加率となりました。

    食料品価格の上昇ペースはやっと緩やかに

    生産地域の天候不順による供給制約、及び飼料、エネルギー、包装材料などのコストの上昇圧力によって、食料品価格は先月まで7ヶ月連続で前年同月比2桁%の値上がりを記録し高止まりしていましたが、2023年3月の食料品価格は、2月の+10.6%に対し+9.7%と上昇幅が小さくなりました。

    この上昇の鈍化は生鮮青果の価格低下に起因しています。生鮮果実の価格は、2023年2月の前年同月比+10.5%の後3月は+7.1%となり、特にぶどうとオレンジの価格が減速に最も貢献しました。

    同様に、生鮮野菜の価格も、前年同月比で2月の+13.4%に対し3月は+10.8%と減速し、主にきゅうりやセロリの価格が減速を牽引しました。

    出典 :
    Consumer Price Index, March 2023 | Statistics Canada
    Canada Consumer Price Index (CPI) YoY | Investing.com

  • カナダ中銀は政策金利を再び据え置き 2023年4月12日

    カナダ中銀は政策金利を再び据え置き 2023年4月12日

    概況

    カナダ 中央銀行 は2023年4月12日、政策金利のターゲットを再び4.50%に据え置くとし、量的引き締め政策を継続することを発表しました。

    グローバルサプライチェーンの正常化、エネルギー価格の低下、量的引き締めなどを背景に、多くの国でインフレが緩和しています。同時に、労働市場は依然としてタイトであり、多くの先進国のコアインフレ指標 (相対的に価格変動が大きい食品価格とエネルギー価格を除外したインフレ率) は、特にサービスに対する持続的な価格上昇を示唆しています。

    カナダ経済について

    金融引き締め政策が経済に浸透し続けることで、世界の経済成長が弱まることも予想されています。米国では、銀行部門における最近のストレスにより、信用状況が一段と厳しくなっています。米国の経済成長は今後数ヶ月で大幅に減速すると予想され、今後、特にカナダの輸出にとって重要なセクターが弱まると推測されます。

    カナダの労働市場では、需要が供給を上回り逼迫している状態が続いています。賃金上昇率は生産性上昇率に比してまだ高い水準にあります。堅調な人口増加は労働供給量を増やし、雇用の増加を支えるとともに、総消費を押し上げています。このため、第1四半期時点でのカナダ経済は、輸出の回復と堅調な消費の伸びにより、予測よりも強いものとなりそうです。

    高止まりした住宅ローン金利が家計に与える影響などにより、今後の消費は緩やかに減速すると予想されます。また、米国などの外需の軟化は、輸出と企業投資を抑制すると予想されます。全体として、現在上昇基調のGDP成長率は今後弱くなり、来年には徐々に強まると予想しています。

    これは、今年後半に経済が供給過剰に陥ることを示唆しています。カナダ中央銀行は現在、カナダ経済の成長率は今年が1.4%、2024年が1.3%、2025年には2.5%に上昇すると推測しています。

    インフレについて

    2023年2月の消費者物価指数 CPI (インフレ率) は前年同月比+5.2%と上昇率が緩和され、コアインフレ率も+4.8%といずれも前月よりも低い率となりました。カナダ中央銀行は、インフレ率が今年半ばに3%程度まで急速に低下し、その後、より緩やかに低下して2024年末には目標の2%に達すると予想しています。

    しかし、インフレ期待が緩やかに低下していること、サービスに対する価格のインフレ率と賃金上昇率が依然として高いこと、企業の価格決定プロセスがまだ正常化していないことなどから、インフレ率を2%に戻すことはより困難となる可能性もあります。

    カナダ中央銀行は、金融政策が物価上昇圧力を緩和するために十分な効果を上げているかを引き続き評価し、インフレ率を2%の目標に戻すために、必要であれば政策金利をさらに引き上げる用意があるともコメントしています。

    次回の政策金利発表予定日は2023年6月7日になります。

    Canada Interest Rate Decision

    出典 :
    Bank of Canada maintains policy rate, continues quantitative tightening | Bank of Canada
    Canada Interest Rate Decision | Investing.com