[2023年4月] カナダドル 円 為替 考察
概況について
カナダ円 (CAD / JPY) 2023年4月の為替動向についての振り返りです。
直近の大底である3月24日の1カナダドル94.07円以降、2月28日に付けた今年最高値100.88円を目指して上昇 (カナダドル高 / 日本円安) を続けて来ましたが超えられず、4月18日に付けた100.60円をピークとしてダブルトップ (下チャートの2つの円) を形成した後、現在は下落基調にあります。
経済指標の影響
上チャートを見ても、あまり経済指標で動いたという感じではありませんが、政策金利 が引き続き据え置きとされ、その後に発表された 消費者物価指数 (CPI) にてインフレが落ち着きつつあることが再認識されたことが下落に転じた理由の一つではないでしょうか。
また、2月28日の今年最高値100.88円を超えられなかったことや、今月後半のドル安円高に引っ張られていることも影響していると考えます。
雇用統計 と 小売売上高 は予想よりも良い結果を出しているものの、CPI が順調に下がっているため、カナダ中央銀行が発表している「インフレ率が今年半ばに3%程度まで急速に低下する」との予想が順調に進む可能性は高いと思います。
そして、インフレが沈静化すれば政策金利をそれに合わせて下げる可能性が出てくるので、カナダドル安の原因となります。
原油価格の動向
WTI原油価格は、昨年以降下落基調にありますが、2023年3月に大底を付けたように大きく反発し、4月頭にはギャップアップして大きく上昇しました。このまま勢いを保てるか観察していましたが今は窓埋めで下落しています。
カナダは世界第4位の産油国で、原油などの資源価格が少なからず通貨の強弱に影響するため、下落基調が続くのか、一段上のレンジに上昇するのかを見守りたいと思います。
レンジの動きが継続するか?
カナダ円は2022年の11月に大きく下落して以降、上値は101円下値は94円の間のレンジで5ヶ月間ほど推移しています。為替の動きはレンジで推移することが多いのですが、上チャートの動きを素直に見ると、レンジの下限である94円付近を目指しているように思えます。
直近の銀行株下落によるリスクオフでの円買いなど、円の動きに影響されることが多いのですが、カナダドル単体を上記の経済指標データから考えると、どうしてもカナダドル売りが進むと推測します。この場合、3月のように94円付近からまた折り返すのか、または抜けてくるのか、が今後の動きを見極める焦点になると思います。
次回の日銀金融政策決定会合が4月27、28日に行われ、以前の新総裁のコメントから金融政策は現状維持となる見通しですが、もし予期しないサプライズがあれば大きく円高 (カナダ円安) に向かい94円を下に抜ける可能性は高まるでしょう。
カナダ円 5月の動きに向けて
先ずは、4月末の日銀の金融政策決定会合を無難に乗り切るかどうかを見たいと思います。その後、5月2、3日にFEDによるFOMCがあり米国の政策金利が発表されます。CME FedWatch Tool では8割以上0.25bpの引上げとなっているので、この数値が変わらなければ大きく為替が動くことはないでしょう。
カナダドルに関しては、5月はカナダ中央銀行による政策金利の発表はありませんが、5月中に出る経済指標がこれまでの流れ、つまり、経済状況は良いがインフレは収まりつつある、ということが変わらなければ、カナダ円は上値を切り下げつつもレンジで推移していくのではないでしょうか。
円に関しては、米国などでの金融不安によるリスクオフの円買いで大きく円高に触れる可能性があります。米国の株価次第なところもありますが、もし94円を下に抜けるのであれば、強い円買いの状況が重なることが条件かと考えています。
5月1日 追記 – カナダ円は上値101円のレンジを突破
カナダ円は、4月30日の日銀金融政策決定会合後から円安へと大きく進み、2月に付けた今年最高値1カナダドル100.88円を超えて上昇して来ています。
2022年11月以来5ヶ月間推移して来た上値101円下値94円のレンジを上に抜けカナダドル高・円安の流れになっています。