為替

[2023年2月] カナダドル 円 為替 考察

カナダ円 (CAD / JPY) の2023年2月の為替の動きについての考察です。

CAD / JPY 日足

概況について

まず、2020年から動きとしては、上チャートの通り、2020年3月18日に1カナダドル73.81円の大底を付けた後上昇を続けて来ましたが、2022年9月13日に天井の110.53円そして10月21日にダブルトップを付け、現状は下落基調にあります。

2022年12月までは99.00円でサポートされていましたが、12月20日の日銀ショックでサポートを下に割り込み、現在は99.00〜95.00円間のレンジの動きになっています。

大底天井の要因

大底となった要因としては、カナダ中銀が2020年3月に行ったパンデミックや原油価格急落から生じるカナダ経済への打撃を考慮した、極めて大きな政策金利の緊急利下げになります。

天井となった要因は、ドル円の天井の要因にもなっていますが、初動は2022年10月のFOMCにおける米ドルの動きに影響されています。

そして、同月カナダ中銀の政策金利発表で4.00%の予想に対して3.75%と下回ったことでカナダ長期金利 (10年) ・短期金利 (2年) ともに高値・安値を切り下げて下落基調に入ったことと考えられます。

また、上記ドル円の天井からそれまでの円買いが円売りに転じたことも天井となった要因の一つでしょう。

Canada Interest Rate

カナダドル 2月の動向

カナダドルの2月の動きについては、カナダ中銀の次回の政策金利発表予定日が2023年3月8日になるため、2月の経済指標の良し悪しから金利の上昇が今後行われるのかどうかが焦点となります。

経済指標とは具体的に、雇用統計消費者物価指数 CPI小売売上高、GDP になります。通常、CPIを除くこれらの指標が予想よりも良ければまだ利上げの余地がまだあると見なされますが、おそらく根強いインフレ懸念から特にCPIの結果の方が大きく影響してくるのではと推測します。

そして、市中の長短金利の動きについても上記指標との整合性を見ていく必要があります。

日本円 2月の動向

日本円の2月の動きについては、2022年3月以降ボラティリティが格段に上がっており、需給やそれまでのリスクオン・リスクオフの動きだけではなく、明らかに投機筋の力が働いていることを鑑みなければなりません。

日本と同じく長らく低金利だったユーロも昨年利上げに踏み切り、主要国で唯一マイナス金利政策を行っている日本円がいつ方向転換をするかは世界の大きな関心事です。

おそらく、経済指標による動きというよりは、円の政策金利を大きく左右するであろう2月に提示される可能性のある黒田氏後任の日銀総裁人事に注目が集まり、場合によってはヘッドラインで動く可能性もあると思います。

3つのシナリオ

2月のシナリオとしては、(1) 引き続き1カナダドル99.00〜95.00円間のレンジ、(2) 1カナダドル99.00円を上に抜ける、(3) 1カナダドル95.00円を下に抜ける、の3つになります。

CAD / JPY 日足

予想としては、(3) 1カナダドル95.00円を下に抜ける、可能性が高いと感じます。つまりカナダドルが売られ (弱い) 日本円が買われる (強い) ことでカナダ円のチャートが下落するのではと考えています。下落幅としては、カナダ円上昇以前の抵抗線であった92.00円が一つの目安となると思います。

理由は、カナダの長短金利が下落基調にあることと、金利動向に最も影響力のある消費者物価指数 CPI の上昇が鈍化して来ており頭打ち感があること、金利を現水準で維持することの示唆コメントも出てきており今後金利低下を織り込んで来るであろうこと、が挙げられます。

そして、日本円に関しては、今後の方向性としては金利上昇しかないので、その方向の材料に反応しやすいのではないか、と推測できます。

カナダドル強弱の確認のため、米ドルとの比較 (USD / CAD) についても見ていきます。下チャートを見ると、2022年10月以降徐々に高値を切り下げて下落基調にありカナダドルの方が強くなっているのが分かります。

しかし、米ドルはドルインデックスでも分かる通り昨年10月以降に明らかに下がっており、相対的にカナダドルが強く見えている面があります。

現在、昨日11月に付けた安値1.3226に向けて下降中であり、200日移動平均線の支持もあるので、ここでサポートされて下げ止まれば次はカナダドル安方向に進むことになります。ここが抜けるか反発するかの見極めをすることも有用かと考えています。

USD / CAD 日足

経済指標の内容次第によってカナダ中銀が利上げを継続することは十分あり得ますし、bpが予想よりも高く発表されれば大きくカナダ買いに動くこともあります。日銀総裁人事も円安方法へ動く内容の可能性もありますので、状況によって都度判断していく必要があります。

観察すべきは、カナダ経済指標 (雇用統計、消費者物価指数 CPI、小売売上高、GDP)、カナダ長短金利、カナダ政策金利に関するコメント、WTI原油価格、日銀総裁人事、ドルカナダ (USD / CAD)、ドル円 (USD / JPY) といったところでしょうか。