GDP,  経済指標

カナダ GDP 国内総生産 2022年11月

概況

カナダ 統計局 によると、2022年11月カナダのGDP (国内総生産) は、前月比で10月の+0.1%増に続き、11月も事前予想通りの+0.1%増となり、引き続き経済は良い状態を維持しています。サービス業の伸び+0.2%が製造業の低下-0.1%を相殺しており、20産業のうち14産業がプラス増となっています。

次月12月のGDPはほぼ横ばいと考えられ、小売業、公益 (utilities) 事業、公共事業が増加、卸売業、金融保険業、鉱業・採石業、石油ガス採掘業が減少すると予想されています。

Canada Gross Domestic Product (GDP) MoM

渡航制限の撤廃と金利上昇による影響

2022年10月1日に陸路、空路、海路でカナダに入国するすべての旅行者に対し、ワクチンとArriveCANアプリの使用義務、またあらゆる検査や検疫の要件を含む新型コロナウイルス感染症 (以下 COVID-19) 国境規制がすべて撤廃されました。この制限の撤廃は11月も引き続き運輸倉庫業の上昇を支えました。

一方で、2022年にかけてのカナダ中銀による利上げは、既に減少傾向にあった不動産業、住宅建築業、法律サービス業に引き続きマイナスの影響を及ぼしています。

旅行関連の回復がさらに進み運輸倉庫業が引き続き好調

運輸倉庫セクターは、すべてのサブセクターが上昇したため3ヶ月連続での増加となりました。中でも航空輸送は11月に+4.6%と大幅に増加し、2ヶ月連続で同セクターの成長に最も貢献しています。国内航空会社の回復が続き2020年1月のパンデミック以来の高水準となりました。

しかし、10ヵ月連続の上昇にもかかわらず、2022年11月の航空輸送の活動水準はパンデミック以前の水準を約31%も下回っています。

宿泊サービスも旅行者の宿泊施設利用の増加により11月に+2.5%拡大しました。

金融保険業は3ヶ月連続の減少から増加に転じる

3ヶ月連続で減少していた金融保険セクターは、2022年11月に+0.5%の増加を記録し、ウクライナ紛争により取引活動の活発化やカナダへの資金流入が増加した2022年3月以降最大の上昇率となりました。

最も貢献したサブセクターは信用仲介 (credit intermediation) と通貨当局 (monetary authorities) です。政策金利の上昇が続く中、住宅ローンおよび住宅ローン以外の債務も増加し、銀行での定期預金も増加したことがこれらのサブセクターを押し上げました。

金融投資サービス、ファンド、その他の金融商品も11月の増加+1.2%に貢献しました。11月に発表された米国の消費者物価指数 CPI (インフレ率) が予想を下回った影響で市中金利が少し低下し、カナダ国内の株式・債券の資産価値が上昇しました。

建設業は住宅建設活動の縮小が続き不調

2022年11月の建設セクターは、ほぼすべてのサブセクターで減少し-0.7%減となりました。ただし、エンジニアリングとその他建設活動は例外で+0.5%増と24ヵ月連続のプラスとなっています。

住宅建設は-1.8%の減少で8ヵ月ぶりのマイナスとなりました。2022年5月に組合に加盟する建設労働者の多くがストライキを行い多数の建設プロジェクトに遅れが生じましたが、それ以降で最大の減少幅となります。

商業ビルの新築工事は増加したものの、主に一戸建て住宅の新築と住宅改築、補修工事の縮小が大きく影響を及ぼしました。

小売業の活動も不調

2022年11月の小売セクターは、-0.6%減少となり12サブセクターのうち8セクターが減少しました。特に目立ったのは、建材園芸用品販売店-2.9%減、食品飲料店-1.8%減、そして、総合スーパー-1.6%減でした。

食品飲料店は2018年4月以来の低水準の落ち込みとなっています。ビール、ワインなどの酒類店が最も減少しています。ガソリンスタンドの活動増加+4.2%と自動車・部品販売店での増加+1.4%が他の減少を一部相殺しました。

ガソリン価格について、前月比で10月は+9.2%上昇しましたが11月は-3.6%低下となり (2022年12月の 消費者物価指数 CPI によると12月のガソリン価格も前月比で下落)、主にカナダ西部での価格下落に牽引されました。米国西部における製油所の再開がブリティッシュコロンビア州、アルバータ州、サスカチュワン州、マニトバ州の価格下落に貢献しています。

宿泊飲食業は飲食サービスの活動低下で縮小

2022年11月の宿泊飲食セクターは、3ヵ月連続の増加から一転-1.4%縮小しました。特に飲食サービスが前月の増加分を上回る-2.9%の減少となりました。

2022年前半にCOVID-19オミクロン株の影響から回復した後、同分野の活動は月毎に上昇と下降を交互に繰り返している状態です。

公共事業は医療サービスに対する高い需要があり引き続き増加

公共事業セクターは、2022年11月に+0.3%上昇し7ヶ月連続の上昇となりました。行政機関の+0.5%が最も寄与し、次いで医療社会補助が+0.2%でこちらも同じく7ヶ月連続の上昇となりました。

行政機関の中でも特に、連邦行政 (国防を除く) と州・準州行政がともに+0.7%で上昇に最も寄与しています。

出典 :
Gross domestic product by industry, November 2022 | Statistics Canada
Canada Gross Domestic Product (GDP) MoM | Investing.com